さりな blog

時々小説 時々つぶやき

Mにあげたラブレター

Mにあげたラブレターはごみ箱の中だった。

こっそり入れといたのに、私はなんだか悲しくなってしまった。

先生のバカ。そう言いたくても先生は既婚者なんだ。

思いを伝えたかった。想いは砕け散り、涙が生成された。

涙の工程が、決まっているかのように溢れ出し、しゃがみこむ。

職員専用の靴箱の隣にあるごみ箱でただ悲しく存在していた私。

……あぁ

先生への思いは打ち砕かれたんだ。
ああ、先生。

……私はこう書いたんですよ

先生へ
好き。ずっと見ていました。
私は、先生の事が好きです

面白いところに惹かれます。
ノリの良いとこが好き!もう届かないかもだけど、好きなの……

最後まで見てくれればとっても嬉しい。

          さりなより

こう書いた。先生、私の文章が稚拙だったから捨てたの?

それだったとしたら、さすがにひどい……

既婚者だから、捨てた?

ごみ箱の、バラバラの紙を拾い、カバンの中に入れた。

「……先生の馬鹿」

朝の会には行かなくちゃ、出なきゃいけない。

手強いなんかじゃなくて、叶わないんだ。それは絶対的に……。

しれっと名前を呼んでくれた時のあの嬉しさが身に染みる……

名前、書いてないから怪しんだか。
そりゃそうだよね。匿名の想いになるんだから……!

むしゃくしゃの気持ちで、また放課後行こう……

そうすることにした。

私は、最低だ。
自覚しても何ともならないのが人間。

禁断の恋が一番、それに当たる。

苦しくなるのは、あのラブレターを捨てた瞬間。

何で、入れなかったの?
何で、捨ててしまったの?

もう、やだな。
また、放課後見に来るんだから……

   「Mにあげたラブレター1」